はじめに:当時、人気の絶頂期にあったキャンディ−ズの引退は世間を多いに騒がせました。
その後も水面下では彼女達の復活劇を策略した関係者は多くいた様です。
そして、運命の時が訪れます。  藤村美樹のソロデビュ−です。当時の私達にとっては
衝撃的な出来事でした。期待と不安そして、残念ながら裏切られたと言う思いも交差する
複雑な思いだったと記憶します。化粧品メ−カ−のCMに登場した彼女は私達の心に
しまっておいた記憶とは、ほど遠いものでした。そしてシングルデビュ−。
プロデュ−サ−の名前を聞いて愕然としました。 「細野晴臣」この少し前にテクノブ−ムで
一斉を風靡したYMOのメンバ−とは。彼の実力は評価します。しかし、藤村美樹の再デビュ−に
まさかテクノブ−ムに乗っかるとはとても信じられないものでした。結果は皆さんご承知の
通り、彼女は人知れず芸能界を去ってしまったのです。 


この物語は全てがフィクションであり、一ファンによる願望でもあります。 
全てが過去となってしまったあの美樹ちゃんの再デビュ−をもし小生がプロデュ−ス出来るのであらば
私はこうすると言う、今だから思う願いをWEB上で再現してみました。過去の誰を中傷する
意図も有りません。時代を否定するつもりも有りません。全てが「もしも?」
で始まる架空の物語であります。    


 プロローグ

 ラン、ス−、ミキ  彼女達3人は天使の様に現れ、時代を駆け抜けて
行った。まるで奇蹟に魅せられた様に、その魔法から今も、解き放たれる
事はない。  誰も、意図しなかったであろう彼女達の運命。
アイドルを超えたアイドルがあの時、確かに存在していた。
 彼女達の解散は一つの時代の区切りとなった。  
それが時代の流れであり、彼女達もそれを必要としていた。
 混乱する世論に、背を向ける様でありながら彼女達は
次のステップで、新たなつばさを追い求めていた。
 自由な空気を吸い、大空へと羽ばたいて行く彼女達は、その大自然で
新たな自分を見い出して行く。
そして、月日が流れ、私達は再び、恍惚の世界へと魅せられて行く。     


最初の行動

 ある朝、一通のFAXが各メディアに配信された。
それを受け取ったデスクは蒼然とする、驚きと喜びが交差する一瞬である。
文面はこうまとめてあった。

「拝啓、平素は大変お世話になっております。
この度、当社より元キャンディ−ズの藤村美樹がソロとして
活動を再開する事とあいなりました。
今後の活動内容においては本人の意思もあり
慎重に計画しておりますので、決定しだい随時
ご報告させて頂きます。
 また、再デビュ−にあたり、皆様のお役に立てばと思い
プロモ−ジョンビデオを作成いたしました。
近い内に、到着すると思いますので今後とも何卒、宜しくお願い申し上げます。
                               渡辺プロダクション 」


それからほんの数分後、一台のバイク便が到着した。
ライダ−は手に持った小包みをスタッフに手渡した。
そこには一本のビデオテ−プが同封されていた・・・

奇跡のテープ

 そこにはただ自然に振舞う、女性の姿が映し出されていた。 
彼女はカメラを意識する事もなく、笑い、また物思いにふけていた。
気取らない装いは彼女の品の良さを伺わせた。
そして、BGMとして新たにリメ−クされたキャンディ−ズ時代の名曲
「ふたりのラブソング」が使われていた。
 ミキちゃんは藤村美樹として、帰ってきたのだ。
セピア色に切り取られた映像を食い入るスタッフの姿がそこにあった。



機は熟していた

テ−マ:「藤村美樹再デビュ−企画案」
一つの時代を築き上げた「キャンディ―ズ」は我が社においては勿論、芸能界にとっても
貴重な財産であります。  然るにこれからの行動は当社のイメ−ジにも影響しかねないので
いかなる試練をも乗り越え「成功」を導かなければなりません。 まさに社運を賭けたプロジェクで
あると考えております。

藤村美樹の魅力はそのルックスも然る事ながら、非凡な歌唱力であります。
彼女の歌唱力を持ってすれば、過去の殻を破り、女性を始め新たなファン層の拡大も可能です。
 過去の楽曲にもシングルカットはされていませんが、彼女が歌う名曲が数多く存在します。
私達はそれらをリメ−クし、再び日の目を浴びせようと思います。

またこれからはイメ−ジ戦略も多大な効力を発揮すると思われます。
そこで私達は彼女「藤村美樹」のライフスタイルも一つのイメ−ジ戦略と捉え計画を実行してみました。
現在、彼女には青山で一人暮しをさせています。
可能な限り多方面の芸術を身につけてもらいます。
今後も、スケジュ−ル等の負担を避け一人のア−ティストとして開花させようと思います。

 次に、再テビュ−のきっかけとして各メディアにプロモ−ションビデオを渡します。
そこでは一人の女性としての「藤村美樹」をアピ−ルしたいと考えております。
BGMでは過去の楽曲をリメ−クして使います。 過去のファンにとっては懐かしく、その他の視聴者に
とっては新しい「藤村美樹」との出会いのきっかけとなるでしょう。

続いて、TVへの出演を計画しております。
プロモ−ションビデオを配布後、約2週間後を目安とし「ミュ−ジックフェア−」への出演を計画しております。
そこではパ―トナ−として現在、歌唱力で高い支持を得ている女性ア−ティストを起用したいと考えております。
過去の楽曲、得意な洋楽のカバ−、そして見事な二人のバラ−ド、最後に最新曲で締めくくる。
 前半はパンツルックで軽快に、後半は白のロングドレスに身をまとい華麗に、それでいて清らかに。

それからは、待ちに転じます。  TV出演を出来る限り避けます。
この時の言い訳として「海外でのレコ−ディング」が妥当ではないでしょうか。
そしてその間、2本目ミュ−ジックビデオを発表いたします。
「ミュ−ジックフェア−」で発表した最新曲です。  タイトルはまだ未定ですが
現在、作詞は喜島修忠、作曲は穂口雄男に依頼しております。
基本的にはバラ−ドとして完成する予定です。
ロケはパリで行います、スタイリストには自立した女性をイメ−ジしたファッションを提示しています。

これら戦略には、爆発的なブレ−クを望んでおりません。
その真意には、アイドルではなくア−ティストとしての再始動を計画しているがためでもあります。



                
                                       渡辺プダクション       企画部

 
衝撃の復活劇
 
フジテレビ第7スタジオに向かう一行があった。
数人の関係者に囲まれ小柄な女性が小走りに歩いている。
 彼女は淡いピンクのニットにベ−ジュ色のジ−ンズ姿だった。
反対側からもこの日、同じ舞台を踏む庄野真代が現れた。 二人は挨拶を交わし、互いの健闘を誓った。
 リハ−サルを繰り返し、一時間ほどの休憩がすみ本番がスタ−トした。
スポットライトが彼女を照らした。 一瞬緊張が襲つた。オ―ケストラが演奏を開始する。
オ−プニングは「ふたりのラブソング」だ。美樹は静かにそして熱く歌いきった。
 拍手が鳴り止まなかった。続いて庄野真代が「飛んでイスタンブ−ル」を軽快に歌いきった。
司会者のト−クがより二人の魅力を引き出して行く。
 舞台が暗転し、ピンスポットが美樹の足元を照らしている。
バイオリンが静かな音色を奏で始める。「イザベル」だった。
 次は二人でのコ−ラスだ。  選ばれた楽曲は一斉を風靡した「キャンディ−ズ」の名曲
「アン.ドウ.トロワ」。
庄野真代が新曲「マスカレ−ド」披露する。
「これまでの曲は私にとって大切な思いでです。」 「キャンディ−ズは私に素敵な夢と大きな翼を与えて
くれました。」 「でも、これからは新しい自分を捜して行くべきだと考えています。」
「聞いてください。私の新曲 (ピュアラブソング)を・・・」
 それは本当の愛に出会い、悩み苦しむ女心を歌った楽曲だった。
司会者が二人の労をねぎらった。  その時、美樹の目には光るものが輝いていた。

ミキちゃんから美樹へ

ワイドショ−はこぞって彼女を特集した。
「キャンディ−ズ」時代と対比しながらも、
メディアは彼女のライフスタイルに目を向けていた。

ある番組では、そのファッションセンスを評価した。
また、ある番組では試写会場へ出向く彼女を取材した。

過去のアイドルには見れなかった親近感と気取らない
透明感が多くの視聴者に好感をよんだ。

そして待望のシングルリリ−スである。
A面は新曲「ピュアラブソング」 B面はリメ−クされた
名曲「ふたりのラブソング」だった。
時、同じくして某化粧品メ−カ−の
イメ−ジキャラクタ−への起用が決定した。

CMコンテ
スト−リ−:窓辺にたたずむ美樹。彼女は失恋を体験したばかりである。
ふと、ブラインドの向こうに目をやる。そこには黄金色に輝く夕日が差している。
唇を噛み締め彼女はブラインドを全開にした。  
夕日を体一杯に浴び、彼女は唇に紅をさした。
CMコピ−「あんな奴、見返してやる。」

メディア対策

 プロジェクチ−ムの願いは、ここまで順風満帆の様に思えた。 しかし、ここからは
予想した通りの大きな壁が迫りつつあった。 それはマスコミの存在である。
 人気全盛のさなかに、突然の引退表明。 そして沈黙を破っての再デビュ−・・・
マスコミは黙っていない。ここぞとばかりの取材攻勢が続いた。
 彼らは熱し易くさめ易い。 アイドル全盛の今日(当時)に、マスコミにではなく
ア−ティストが主導権を握るのは決して楽な事ではなかった。

 チ−ムは再三の要請をたくみかわしながらもメディアへの登場を演出して行った。
まずはFM局への出演である。  当時、若者に高い支持を得ていた「カイバンド」の
甲斐よしひろとの対談番組をセッティングした。  これは二人のア―ティストとしての
考えや、庶民的な私生活などの話題が好感を呼んだ。
 次に、「ミュ−ジックステ−ション」に出演。 ここでは、新曲ではなく
過去の楽曲から「オレンジの海」をセレクトした。
 「徹子の部屋」にも出演。ここではキャンディ−ズ時代の話題にもあえてふれた。
 美樹には番組に合せたコメントではなく、出来る限り自分の言葉で答えるようにさせた。
そして、過去の恩返しも忘れてはならなかった。それは美樹自身が望んだ事でもあった。
 オ−ルナイトニッポンに一週間連続アシスタントとして生出場は、過去のファンを狂喜させた。
ここでは、笑い有り、オトボケ有りと「GOキャン」ばりにはしゃいで見せた。
その間、初のミニアルバムがリリ−スされた、作詞作曲は藤村美樹、自ら行った。

ミニアルバムは全四曲が収録されていながら、従来の
シングルと変わらない価格での発売が話題となった。
もちろん全てが新曲だった。
 彼女のア―ティストとしての才能を世間が評価した、記念すべき
作品となった。  これを機に小会場中心ながら
全国ツア−もスタ−トした。
アルバム中の一曲は、TBS「ザベストテン」で最高位5位まで
ランキングされた。
その後、少しづつマスコミの対応も変わってきていた。
キャンディ−ズのミキちゃんではなく、一人のア−ティストとして、
彼女の次回作に注目を置くようになった。
ここまで、再デビュ−から一年の月日がたっていた。
 

そして、思うところ

 この物語は全てフィクションです。 この物語は再デビュ−からの一年間を想像し掲載しました。
実際はこれから先も考えていたのですが、ただ必死で芸能界での生き残りを考える自分に嫌気がさし
掲載をやめました。 それが、彼女 藤村美樹にとっての本当の幸せとは思えなかったからです。
いま、私達は彼女の過去の楽曲に思いをふける事しか出来ません。
しかしあれから20数年、私も妻子有る身となり人生の本当の幸せが人並みに理解できるようになりました。
人の人生は不思議な縁(えにし)によって導かれているようです。
何かを得れば、何かを失っている。 彼女もそうであったように、
私達ファンも彼女の歌声を再び聞く機会を失いましたが、一人の妻として、母としての幸せを手に入れた
彼女の生き方が一番幸せだったと思えてなりません。
私の青春時代に一筋の光を指し続けた、彼女達への感謝を私は何時までも忘れない。

                                                       木田宗浩       


キャンディ−ズシヨ−
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